日本有数の米の産地として豊かな水田が広がる庄内平野に「鶴岡サイエンスパーク」はあります。2001年に山形県と鶴岡市を含む庄内地域の14市町村、そして慶應義塾が連携して、慶應義塾大学先端生命科学研究所が設立されて以来、世界最先端のバイオテクノロジー研究が行われています。研究所からは多くのバイオベンチャーが誕生し、高度な関連機関の集積が進み、大学を核とした独創的な地域活性の成功地として、国内外から注目されています。
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Government|官
Academia|学
庄内平野が今も米どころとしてあり続けているのは、環境の良さのみならず、地域の人々がその時々に合わせて苗を改良し、痩せないように土壌を整え、技術を継承し続けたからに他なりません。言うなればこの水田の地は、稲作というバイオテクノロジーの由緒ある場所なのです。また、かつて城下町であった歴史をふりかえれば、庄内藩校「致道館」に象徴されるように、学問を尊ぶ風土があり、じっくりと人を育てることに力が入れられてきた地域でもあります。
3つの日本遺産を持つ鶴岡市は、豊かな自然と伝統文化によって紡がれてきました。羽黒山、月山、湯殿山の通称・出羽三山「生まれ変わりの旅」は、生きながらにして新しい魂に生まれ変わる巡礼地として、江戸時代から日本全国の人が訪れています。鶴岡は、生命の息吹とその深淵を感じる土地なのです。
サイエンスパークで行われている研究のメインは、バイオテクノロジーと呼ばれるものですが、生物、食料、自然環境など、さまざまなものと密接に関わる分野です。生物のサイクル、有限なものへのまなざし、ともに在ることの再構築。生と死、そして再生に向き合う出羽三山巡礼の地で、バイオテクノロジーの最先端研究が行われているのは、必然なのかもしれません。
鶴岡サイエンスパークを代表するバイオベンチャーであり、日本で数少ないユニコーン企業に成長しているSpiberは、原料を枯渇資源に頼らない、微生物を用いた構造タンパク質素材「Brewed Protein™」の生産と産業化に取り組くんでいます。自然への深い洞察と最先端の科学技術によって次の時代の基幹素材を提供し、自然と人間、人類全体におけるサステナブルな未来をつくることをめざしています。
また、サイエンスパークには、リトリートに最適なホテル施設SUIDEN TERRASSEや子どもたちの才能を伸ばす全天候型の児童施設KIDS DOME SORAIもあります。田園風景のなかに浮かぶように存在するホテルと、子どもたちが遊びながら考える力と創る力を育てる場所。制限から解き放たれて、新たな可能性が拓かれる。ここは、人が生まれ変わり続けるための重要な役割を担っています。
古くから大切にされている景色と文化に見守られながら、最先端の研究とビジネスを発展させ、地域内外とのつながりによって新たなコミュニティと可能性を育てていくこと、最先端の優れた科学技術と使命感をもって、よりよい未来を創っていくことが本サイエンスパークの存在意義であると考えています。
地域と学術機関と民間企業が一丸となり、鶴岡の恵まれた環境で、未来に向けて新しい価値を創造するという強い使命感を持って飛躍していきます。私たちの取り組みに共感してくださる地域内外の方々との共創によって、新たな発見とビジネスの循環が生まれることを望んでいます。